Eclat,1979-1983 | 田原 桂一 Tahara Keiichi LightScape


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エクラ  E c l a t s



ただ茫然と室内に視線を漂わす時、
記憶の中の光景が眼の前に浮かび上ってくる。


幼い頃に見たものか、ほんの数日前に見たものか、
あるいは、それらの記憶が一体となって
混沌とした景色をつくるのかはさだかではない。


透明なものと不透明なものの間を、行きつ戻りつしながら、
光が“かたち”をつくるようでもある。


記憶の中の光景と、今、目の前にある景色とが次第次第に、
意識の中で溶けあい、光だけが実体としてあるような気さえする。


水中の光をとらえようとするかのごとく、
視線は空間の中を、対象物すら識別できずに
光を追ってフワフワとさまよう。


光は時間の流れの中で、空間に痕跡を残し、
そして消えていく。


定着されるべき光があるとするのなら、
やはりそれは“かたち”であるべきではないという想いが
より一層強くなる。



Keiichi Tahara

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Eclats,1979-1983

『エクラ』


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